藤野雲平写真ご挨拶 攀桂堂創業400年

2015(平成27)年4月、攀桂堂は、おかげさまで創業400年を迎えました。

1615年より長年にわたり今日まで続けてこられたのもひとえにお客様方の御厚情の賜と哀心より厚く御礼申し上げます。
更なる500年を目指して創業当初からの伝統製法・巻筆を守り続けて、広く皆様方に愛され続ける「攀桂堂」でありますようより一層精進してまいります。今後とも何卒変わらぬご支援・ご愛顧賜りますようお願い申し上げます。

 

平成27年4月
攀桂堂
第15代目 藤野雲平

創業400年の歩み

1615年(元和元年)に京都にて創業した「攀桂堂」は、明治42年東京へ移り大正12年関東大震災などの困難を乗り越え、近江高島市において2015年に創業400年を迎えました。
ここでは、先代達が歩んできた道のりを振り返り、これからの未来を見つめたいと思います。

創業の経緯

近江・彦根(滋賀県彦根市)・肥田の出身の初代雲平が1615年の大阪夏の陣で戦の時代が終わったのを見越し、京へ出向き、二条麩屋町(京都市中京区)で店を構えたのが始まり。

堂名の由来

正徳年間(1711〜16年)に当時の関白・近衛予楽院家熙公から「攀桂堂」の屋号を賜った。「攀」には「よじ登る」の意味があり、「そこから転じて、“堅実さ”が家訓になった」と先代は解説した。

これからの攀桂堂

京都で創業し、東京へ移り、現在滋賀・高島の地で営む攀桂堂は、国内唯一の伝統製法である巻筆を絶やさず、少しでも多くの方にその存在価値を認知して頂くことを目指します。時代の流れの中で、文字を書くということが少なくなった今日であるからこそ、日本の大切な伝統文化である「書」の素晴らしさを私共も改めて見つめ直し、時代が変わっても、変えてはいけないものは大切に、その文化継承に努めてまいりたいと思っております。
そして、今までご愛用いただいたお客様方への感謝の思いを忘れず、その方々への恩返しのためよりご満足して頂ける筆の製作を心掛けていきたい所存であります。

筆の種類絵

1878年文部省出版「文芸類纂.巻7 文具史 上」 榊原芳野 編

攀桂堂年表(1615年〜2015年)

西暦 出来事
1615年
元和元年
藤野又六(26歳)、京都にて筆師として創業。後に雲平と改名。それから代々「雲平」の名が引き継がれる。
1624年
寛永元年
大師用、宸翰用、敇筆用の筆を製し、宮方摂家等内裏御用、殊に有栖川好仁親王より御注文を承る。
1711年〜1716年
正徳年間中
5世雲平、近衛家熙公より「攀桂堂」の屋号と「忍」の一字(軸物)を賜る。
1887年
明治20年
有栖川熾仁親王から長さ二尺九寸、差し渡し三寸八分、筆行七寸八分の筆の図(軸物)を自ら示し、「唐山馬にてそのような筆を制せよ」と特大筆の御注文を仰せられる。
掛け軸写真有栖川熾仁親王特大籐巻筆写真有栖川家からの手紙写真
1909年
明治42年
京都二条麩屋町より東京に転居。松方正義、比田井天来、岡山高蔭など各方面の著名な書家より御用を賜る。
松方正義作品掛け軸・比田井天来作品掛け軸写真岡山高蔭の額作品写真
1923年
大正12年
13代目雲平・14代目雲平写真関東大震災に被災し、12世と13世夫人の郷里である滋賀県高島郡青柳村(現高島市)に転居して現在に至る。
1966年
昭和41年
14代目雲平写真14世雲平、滋賀県指定無形文化財の認定を受ける。
1972年
昭和47年
宮内庁より正倉院所蔵の天平筆模造の御用命を受ける。
1975年5月26日
昭和50年
翠湖苑に於いて、昭和天皇皇后両陛下に技術台覧の栄を賜る。
1979年4月5日
昭和54年
期日6年を費やして復元し、正倉院に天平宝物筆を奉納する。
天平筆写真1天平筆写真2
1983年3月
昭和58年
当堂に礼宮様(秋篠宮殿下)が御来店され、技術台覧の栄を賜る。
1988年4月29日
昭和63年
14世雲平 勲六等、瑞寶賞を受賞する。
1993年8月16日
平成5年
NHK「手仕事にっぽん」で巻筆技術が全国的に紹介される。(https://www.youtube.com/watch?v=mAQlFCgscLI
1995年10月1日
平成7年
全国育樹祭の折、皇太子雅子両殿下に技術台覧の栄を賜る。
1999年7月30日
平成11年
14世雲平逝去後、安曇川町名誉町民(第2号)授与。
2009年1月
平成21年
読売テレビ系「皇室日記」で有栖川流書道と巻筆について放映される。
2009年4月1日
平成21年
攀桂堂のHP(http://umpei-fude.jp)を立ち上げる。同時に通信販売を始める。年々全国各地から巻筆の御注文が増えてきています。
2013年11月5日
平成25年
近江の名工授賞式写真15世雲平、滋賀県の「おうみの名工」として認定される。
2013年11月10日
平成25年
NHK Eテレ「日曜美術館」で本阿弥光悦が使ったとされる筆として巻筆が全国的に紹介される。
2015年4月
平成27年
おかげさまで創業400年を迎えました。
2015年11月
平成27年
「筆の源流 巻筆の世界」裏表紙「筆の源流 巻筆の世界」表紙創業400年記念誌「筆の源流 巻筆の世界~攀桂堂 雲平筆 四百年~」を発行。
2017年8月10日
平成29年
秋篠宮両殿下、悠仁親王殿下に巻筆技術台覧の栄を賜る。

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